航海士について

航海士は、船長(船の総責任者)が作成した運行計画に基づき、航海や荷役に関する業務の遂行のため、甲板部を指揮して、あるいは自らが直接それに当たります。
航海士の最も重要な業務の一つに、船の位置確認があります。陸が肉眼で見える範囲を航海しているときは、肉眼やレーダーなどで船の位置を確認しますが、太平洋や大西洋を航海しているときは全く陸を見ることができないので、太陽や星を計測して、(近年では、陸上や人工衛星からの電波をキャッチして)船の位置を求めます。
また、船の位置を確認するとともに、現在の気象・海象・潮流などを的確にとらえ、今後の変化を予測したり、残りの航海距離・船の速度・目指す港の状況・港までの航路の状況などを考慮に入れながら、安全で効率的な航海成就につとめなければなりません。


<中学校から進む場合>
中  学  校  を  卒  業  す  る
船員として就職
海上技術学校に進み卒業
商船高等専門学校に進み卒業

水産高校・漁業科に入る

甲板部員として働きながら、年齢と乗船履歴の件を満たしていく。<約6〜7年間>
乗船実習科に進み、練習航海実習6ヶ月を終え、両科を終了する。
3級海技士(航海)の試験を受験する。<筆記試験は免除>

さらに、専攻科に進む。

その後、試験を受ける。
4級海技士(航海・機関)の両方の試験を受験する。

3級海技士(航海)の受験資格を得られる。

試  験  に  合  格  し  て  航  海  士  と  な  る

海上技術学校
・・・
全国に6校あり、修業年限は3年。
商船高等専門学校
・・・
全国に5校あり、修業年限は5年6ヶ月。 


<高等学校から進む場合>
高  等  学  校  を  卒  業
商船大学に進学する。
海上技術短期大学校に進学する。
卒業後、さらに6ヶ月間の乗船実習科に進む。
修業年数は2年(練習航海実習9ヶ月を含む)で卒業する。
3級海技士(航海)試験を受験できる。
4級航海士(航海・機関)の両方の試験を受験できる。
試 験 に 合 格 し て 航 海 士 と な る

商船大学
・・・
東京と神戸に2校あり、修業年数は4年。
海上技術短期大学校
・・・
静岡(静岡市)と愛媛(波方町)に2校あり、修業年数は2年。

海技士(航海)試験

航海士の職業は、免許制です。
  船舶職員法によって船の大きさや航行区域別に、それぞれの船の一等航海士・二等航海士などになるための海技従事者の資格が定められています。
船長・機関長・航海士・機関士・通信長・通信士・運航士といった船舶職員になるには、必携のライセンスです。
  ☆受験資格
    年齢制限はないが、免許交付は20歳になってから。
    船舶の航行する区域および船舶の大きさの区分などによって、所定の乗船履歴が必要。
    詳細は船舶職員施行規則を参照すること。
  ☆試験内容
   <学科・筆記> 
    【6〜4級】
     @航海に関する科目
        (航海計器・航路標識・水路図誌・潮塩および海流・天文航法・電波航法など)
     A運用に関する科目
        (船舶の構造・設備・復元性および損傷制御・気象と海象・操船・医療・乗組員の管理
         および訓練など)
     B法規に関する科目 (海上衝突予防法・船員法・船舶職員法・水先法など) 
    【1〜3級】
     @〜Bは上記と同じ
     C英語に関する科目
   <学科・口述試験>
     各級とも筆記試験合格者に実施 
   <身体検査>
     各級共通 @視力 A弁色力 B聴力 C眼疾患の有無 D疾病の有無
  ☆難易度
    合格率は (筆記39%くらい、口述78%くらい) で難易度は中位。
     

海技士(機関・内燃機関)試験

海技士のうち、船舶の心臓ともいえる推進機関や、その他さまざまな船内の機器の点検・管理を行い、航海の安全を支えるのが、海技士(機関)と海技士(内燃機関)です。
  ☆受験資格
    年齢制限はないが、免許交付は20歳になってから。
    船舶の航行する区域および船舶の大きさの区分などによって、所定の乗船履歴が必要。
    詳細は船舶職員施行規則を参照すること。
  ☆試験内容
   <学科・筆記> 
    【海技士(機関)】
     @機械に関する科目 その1(出力装置・プロペラ装置)
     A機械に関する科目 その2(補機・電気工学・電気設備など) 
     B機械に関する科目 その3(熱力学など)
     C執務一般に関する科目(当直・保安・機関一般・英語など)
    【海技士(内燃機関)】
     @機械に関する科目 その1 (出力装置・プロペラ装置) 
     A機械に関する科目 その2(補機・電気工学・電気設備など)
     B機械に関する科目 その3(燃料および潤骨剤の特性・熱力学など)
     C執務一般に関する科目(船舶作業の安全・2.3級のみ英語) 
   <学科・口述試験>
     筆記試験合格者に実施 
   <身体検査>
     @視力 A弁色力 B聴力 C眼疾患の有無 D疾病の有無
  ☆難易度
    合格率は40〜50%くらいで難易度は中位。

□企業・団体作成ホームページへのリンク集

全日本海員組合 - 船乗り仲間でつくる海員組合。プロの船乗りになる道についても解説。
国立小樽海上技術学校 - 航海士、機関士の養成。
国立清水海上技術短期大学 - 航海士、機関士、調理師等、船員の学校。学科の紹介や海員学校のQ&Aを掲載。
国立館山海上技術学校 - 海上技術者を育成するための、運輸省所管の国立学校のページ。
鳥羽商船高等専門学校 - 歴史や学科紹介、試験案内、進路情報等。
国立波方海上技術短期大学校 - 航海士、機関士の養成。
国立沖縄海上技術学校 - 船員資格取得へむけた教育を紹介。卒業後の進路、学校生活等。
国立宮古海上技術学校 - 海上技術者を育成するための、国土交通省所管の国立学校のページ。
国立唐津海上技術学校 - 海上技術者を育成するための、国土交通省所管の国立学校のページ。
国立口之津海上技術学校 - 海上技術者を育成するための、国土交通省所管の国立学校のページ。

□個人作成ホームページへのリンク集
航海士便り - 航海士による寄港地、船の種類や操縦室、エンジンの紹介等。
航海士の一日 - 二等航海士の航海中の一日の解説。