ガイダンスカリキュラムの意義と特色
−八並光俊先生−
アメリカではガイダンスカリキュラムがスクールカウンセリングの中心。生徒指導の面からも全児童生徒に対する予防開発的指導としてのGCが必要。
GCの7つの特色。@構造化されたインストラクショナルプログラム,Aプロアクティブつまり予防や開発に焦点をおいて,B明確な教育目標がある。C系統的計画的な内容がある。D集団の中で個を生かしていく発想がある。E評価ができて再現性がある。Fどんな力を子どもたちにつけていくかというコンピテンシーベースド。特に実態の調査,結果の測定などアセスメントが欠かせない
集団ベースで個を育成するGCの企画・運営・実践・評価が教育カウンセラーの専門性だ
学校が教育困難状況からの立ち直る生徒指導にGCが欠かせない。GCは集団ベースで,違いや個性に気づき,キャリア教育と関連させて将来展望をもたせる。
中学校にとってのGCの意義と効果を上げる秘訣
−清水井一先生−
生徒指導上の困難を乗りこえるために背水の覚悟でGCを学校に取り入れた。総合の時間で教育課程に位置づけ,体験学習と関連づけ,20時間程度のGC授業を行う。教育課程には学校の課題を解決するプログラムを示して位置づける。
成功の秘訣は集団の指導できる教師にGCの授業をさせること。また生徒たちに「先生は先生と呼ぶ」「先生の話は聞く」「先生の指示には従う」を約束させ,「この授業を受けたらいいことが起こる」ことを体験できるようにした。
GCの授業を生徒理解として機能させ,子どもの変化を見とって個別対応につなげる
1年で学力まで上がった。校長が替わっても続いている
千葉県教委〜発達を踏まえたねらいと1時間の展開〜
−佐藤眞弘先生−
小1から中3まで年間4時間の人間的な力をつけるプログラムを19年から全県で実施。
プログラムは,最初はコミュニケーションの力,3,4年生は共感,お互いを理解し合う。5年生は問題解決,6年生は自己主張,中学1年はクリティカルシンキング(自分を省みたり批判をする),2年生はセルフコントロール,3年生は意志決定。
1時間の流れは,(1)授業の流れを確認する。(2)本時のテーマを確認する。(3)モデルを提示する。(4)子どもたちの実習活動。(5)まとめでは,プリント等を用いて,学んだことを概念的に整理していく。(6)次回の予告。
1年目で,小学校は全学校の92%,中学校は84%が実践した。「楽しそうに取り組んだ」「周りの人のことを気にかけるようになった」「人の話を聞くようになった」「あいさつが多くなった」「トラブルが少なくなった」など成果が報告された。
さいたま市,静岡県,石川県,横浜市,川崎市への広がり
−岡田弘先生−
静岡県は年間4時間を基本。石川県は来年度から小学校から高等学校まで全クラスで実施する。時間数の規定はない。横浜市は小学校から高校まで総合を核として時間数の規定なく実施している。川崎市は来年に向けテキスト作り中。特活を使って6時間が目安。
さいたま市は,教育特区が認められ,小学校3年生から中学校1年生まで年間18時間つまり1学期6時間を人間関係プログラムを実施。各学期の2週間以内に6時間を行う。
さいたま市の授業者研修は,初任者でも全教師が実践できるように,エンカウンターによるあたたかな人間関係作りとソーシャルスキルトレーニングを中心に教える。
さいたま市はアセスメントを応用教育研究所の協力を得て開発した。2軸と6つの因子項目を元にしたものを全小中学校に実施する。
スキルが身につくと自尊感情が高まることがわかった。またスキルを教えることを通して人格の完成につなげることを頭に置いて実践することが大切だ。
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