■■■ガイダンスカリキュラム(GC)の広場■■■ −「授業型の生徒指導」の最新情報−
●GCを学校経営に連動させる3要素 2010/3/24 GCは授業時間を確保して,プログラムどおりに実行できれば効果を発するものではなく,学校経営の中に連動させることが欠かせないことがわかってきました。そのカギとなる要因を松原第七中学校の深美先生がまとめられました。 人間関係学科(=GC)には3つの必須要素があると思います。 (1) 日常性 日常での子どもどうしの風通しを良くし、関係づくりをするということです。自己開示系(自己理解、他者理解)のエクササイズがこれにあたると思います。いわゆるコミュニケーション力・対人関係の育成を担う部分です。 (2) テーマ性 人間関係学科=GCをメインにして、あるテーマを深めていくということです。ストレスマネジメント系や境界設定、リフレーミング、自己管理力等についてパッケージ化されたもので、CGでなければ掘り下げられないテーマを扱う部分です。 (3) クロス性 特別活動(行事)・総合的な学習・道徳の時間・教科授業と連携し、それぞれに必要なスキルを育成するという部分です。 −深美隆司先生のメールより−
GCの中核は「共生・創造性教育」 2009/3/10 GCのねらいとして,問題を狭く人間のことだけに絞るのではなく,地球規模の環境破壊・戦争・貧困・差別など,人間中心のエゴイズムから,全存在(人間以外の動植物等を含む)を尊重し受容する(=共生)態度を育成する必要があると思います。 そして日本の教育に欠けていると言われ続けた,創造性(=個性・独創性)の教育(未来を創り,変革する力)がGCの中核に位置づけられるのでは思っています。 以上,八並光俊氏語る GCが関係し効果をもたらす領域 2009/3/10 GC=生徒指導=教科指導(学力向上)=学級経営(集団づくり)−キャリア教育(キャリア・コンピタンシー)−特別支援教育(二次障害の未然防止) 以上,八並光俊氏語る
GCの発展的な内容 2009/3/9 八並光俊氏が,糸井川孝之校長(松原市立松原第七中学校)との話し合いを経て述べたことです。 1.「受け身型のGC」から「創り出すGC」へ 今後は教師がお膳立てをした授業(学習事項)を,児童生徒が一方的に受容するばかりでなく,授業や学び・気づきを自ら作り上げていくGCの授業を開発する必要があるだろう。 そこで大切なスキルは創造性スキルと批判的思考スキルだ。これはWHOのライフスキルに含まれている。その際は体験学習が必要だ。 2.人権教育の重視 GCの目標には公民性が含まれる。社会人として生きていく上では,自他を一人の人間として尊重するという人権意識抜きには考えられない。人権意識が定着すれば,規範意識も高まる。また言葉,容貌,学歴,職歴,発達の違いによる差別意識もなくなっていくだろうし,差別を生み出す社会構造も正されるだろう。 以上,八並光俊氏語る
東西のGC実践校の校長先生が語り合う 2009/3/8 清水井一校長(上尾市立西中学校)と糸井川孝之校長(松原市立松原第七中学校)がGCの今後について話し合いました。 1.GCで成果を出している学校が継続させるには (1)もう一段先の目標を設定してカリキュラムづくりなどを行う。 例えば,@創造的思考,批判的思考に焦点化 A社会と自分を繋ぐことをねらう B自分の未来を考えたり切り開いたりする (2)小学校と一緒に取り組むことで広がりが生まれた (3)GCがなくなったときの問題行動が増える可能性を何度も確認する (4)校内で,熱心な教師に着目し,リーダーシップを促す。 2.GCの授業を入り口とした大きなサイクル GCの授業は,ウォーミングアップ(入り口)であり,学校としての生徒指導システム(積極的生徒指導も含む)に埋め込むことが必要。 例えば,学校レベルでは体験学習と関連させ,地域レベルではボランティアと関連させる 概念図案 3.GCは「先手必勝の生徒指導」といえる 問題行動を未然防止が大切なこと,そのためのGCであることに理解を得るのがむずかしい。そこで「先手必勝」という言葉でならイメージを伝えやすいのではないか。 さいたま市の潤いの時間は人格形成がねらい 2009/3/2 さいたま市は教育特区を受け「人間関係プログラム」を実施しています。 この教育特区は2つの要素から成り立っています。 「潤いの時間〜国際社会をたくましく豊かに生きる児童生徒の育成〜」 =「要素@人間関係プログラム」+「要素A英会話」 一見,別物の2つのようですが,驚きの事実がありました。 先日,さいたま市の「英会話」を推進する渡邉寛治先生(文京学院大学教授,さいたま市小・中一貫教育構造改革特区「英会話」推進委員会委員長)のお話をうかがいました。 渡邉先生曰く, 「新学習指導要領の小学校外国語活動と同様にさいたま市の英会話は,言語スキル(発音,単語,文法など)の獲得が目標ではなく,コミュニケーションをとろうとする態度の育成がねらいである。それは国際教育でいう『共生,個の確立,自己決定・行動力』を育て,自己の確立を促すことをめざしている」と。 つまり,さいたま市は教育特区・潤いの時間で,2面のことから子どもたちの個の確立に取り組んでいるのです(他の時間との関連もうたっています)。 不勉強にも私は(東),視界が開けた気がしました。 そう思って,さいたま市の「潤いの時間で育む力」を読むと,そのとおりのことが書かれています。 つまり,さいたま市では,人間関係プログラムのみならず,英会話も含めてガイダンスカリキュラムに取り組んでいる,のだと思います。
アセスメントを生かしたアプローチ 2009/2/20 杉並区立中瀬中学校の実践を藤川章校長に聞きました。 生徒たちの実態のアセスメントに基づいてガイダンスカリキュラムを組み上げ,学校組織の教育機能を発揮させる貴重な例だと思われます。(東) 集団・個別という両面から行ったアセスメントに基づいて 毎週の校内委員会で対応策を検討する。 個別には,全員に個別指導計画を立て,相談週間などで対応する。 集団には,エンカウンターやソーシャルスキル,スタディスキルなども元にした集団指導(特活や総合で)を行う。 これを「2つのA(Assessment Approach)」として学校体制で取り組む。 以上を研究指定を受け「豊かな心を育てる教育プログラム」として推進中。 2009年4月に中間まとめ,2010年1月に発表会を行う予定。 以上,藤川章氏語る。 不登校予防にガイダンスカリキュラム 2009/2/18 ガイダンスカリキュラムは,社会性を育てることにより,不登校を予防する。 しかし不登校予防に「早期発見早期対応」だけにとりくむ実践が多い。 そういう実践家はGCでの不登校予防をあまり評価しない。 そんなときは,不登校減少の実績を示すことに加えて, どちらが「自立」につながるかを問うようにしている。 教師が早期発見早期対応に力を注ぐより,不登校を予防し,自立を促すのはガイダンスカリキュラムなのだ。 生徒指導の本義に迫る実践を求めたい。 以上,清水井一氏語る。 今年のシンポジウムの内容案 2009/2/17 教育カウンセリング学会大会が11/28-29鎌倉女子大学で行われる。 学会大会は,リアリティがあり,一体感が感じられて,来てよかったと思える,話せる,元気がもらえたというシンポジウムにしたい。 そして,実践者が発信する面白さを求めたい。 今年のシンポジウムの内容案 1.模擬授業1〔東日本〕 2.模擬授業2〔関西〕 3.実践の工夫・むずかしさ(模擬授業と関連した実践者から) 4.充実したフロア参加の討論 来年は,設置者をテーマにシンポを行ってはどうか 1.公立は人が変わるむずかしさをどう乗り越えるか 2.私立は人が変わらないむずかしさをどうの乗り越えるか 3.教師の養成 以上,八並光俊氏語る。 GC実践のキモは泥臭い条件整備 2009/2/17 ガイダンスカリキュラムは,プログラム内容や指導案に目を奪われる。 しかし実は泥臭い部分が問われる。 これがないとまねができない。 @教師の負担感をどうするのか。 Aカリキュラムはどう作るか B保護者にどう説明するか Cスケジュールと進行(何ヶ月で実施までいき,いつ何をしたか) 以上,八並光俊氏語る。 GCは教え与える段階でとどまらない 2009/2/17 GCでは,教師が教え与える段階の次に,子供が作っていく段階を用意したい。 子供が作っていくとは,感動のある体験活動。 自分たちで作り上げて表現する。 ここに児童会・生徒会活動,特別活動の出番となる。 以上,八並光俊氏語る。