●ガイダンスカウンセラーによるスクールカウンセリング
私個人は,現状の日本の生徒指導とアメリカのスクールカウンセリング,それに教育カウンリング,学校心理学の3つの角度から,ガイダンスカウンセラーの行うスクールカウンセリングの特色を簡単に述べてみたいと思います。
第一点は,ガイダンスカウンセラーが行うスクールカウンセリングは,つぎのように特徴づけられます。
(1)段階的でバランスのとれた構造(Tiered and Balanced Structure)
ガイダンスカウンセラーが行う教育的援助サービスは,学校心理学でいわれるように,援助ニーズの程度によって,段階的に層別化されています。つまり,すべての子どもを対象とした成長促進的な一次的教育援助サービス,苦戦している一部の子どもを対象した予防的(早期解決的)な二次的教育援助サービス,特別なニーズをもつ特定の子どもを対象とした問題解決的な三次的教育援助サービスです。
(2)総合的で発達的アプローチ(Comprehensive and Developmental Approach)
ガイダンスカウンセラーは,すべての子どもの学業面(academic development),人格・社会面(personal
and social development)進路面(career development),健康面(mental
and physical development)に関する悩みや問題を,子ども自身,教職員,保護者,関係機関等と連携・協力して解決し,なおかつ,健全な成長のための発達促進を図ります。
(3)データ駆動型・計画的アプローチ(Data Driven and Planned Approach)
ガイダンスカウンセラーは,自己もしくは教職員・保護者からの主観的データだけでなく,子どもたちの声を吸い上げ,なおかつ行動観察や調査・検査等の客観的手法によって実態把握を行い,問題分析や自助資源・援助資源の推定を行います。私は,学年の初期に行うこのような子どもたちや学級の実態把握を目的としたアセスメントを,「イニシャルアセスメント」と呼んでいます。このイニシャルアセスメントのデータ分析に基づいて,計画的に教育的援助サービスを提供します。