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3.第2回面接「小さな変化と布石」  
  
ブリーフセラピーを生かした不登校生徒への対応〜
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 担任の先生から,「A君が試験前にもう一度面接練習をやりたいと言っている」と聞きました。冬休みも近くなっていたので,すぐに日程を調整して面接練習を行うことにしました。


*****************


 A君は自分でかなり練習したようで,前回,私が教えたとおりに一生懸命やっていました。

 ひとしきり面接練習が終わってから,リラックスした状態で雑談をしました。

「だいぶ上手になったね。練習したの?」

「はい,自分で練習しました」

「すごくよかったよ。これなら安心だね」

「はい,ありがとうごさいます」

「ところで,A君はすごく体格がいいね」
「がっちりしているよ。何か運動しているの?」

「たまに自転車に乗っていろいろなところへ行きます」

「けっこう遠くまで行くのかな?」

「はい」

 しばらく,A君の自転車旅行やバス小旅行の話を聞きました。

「とくにスポーツしてなくても,そうやってるからがっちりした身体になってるんだね」
「身長なんか先生より大きいものね。肩もすごいがっちりしてるよね。先生なんかぶよぶよだけど……」
「もう,すっかり大人だよね」
「そうだよね。もう中3だものね」
「もうすぐ卒業だしね」
「あぁ,そうだね。卒業式だね……」

 私は会話のなかで,「体格がいい」ことを「大人である」と定義しなおしました。これは,先々の面接での布石にもするつもりでした。

 また私はA君に自信をもたせたいと考えていました。そこで,以前より身体が成長しているという自己イメージをもってもらいたくて,このような話をしました。以前のA君はもっとか細い少年だったと担任の先生や保健の先生から聞いていたので,よけいに強調してみました。


***************


 次に,とにかく生活に小さな変化を起こそうと思いました。A君は適応指導教室に通っていたので,そのパターンを変えようと思い,次のように提案しました。

「今回,面接練習に2回も来てくれて,先生とてもうれしいよ」
「ところでさ,3学期になったらさ,1週間に1回,先生と話をするってできるかな?」
「どう,できるかな?」

 ここでは,あえて「できるか,できないか」で尋ねました。
 「するか,しないか」で尋ねると,「しない」と答えることが多くなります。しかし,「できるか,できないか」と尋ねられれば,たいていのことはできるわけですから,「できる」と答える可能性が高くなります。

 A君は,ちょっと考えて「はい,できます」と答えました。

「じゃあ,1月の最初だったら,水曜日か金曜日が先生はあいているけど,どっちがいい?」

 ここでは,「前提」というテクニックを使いました。
 学校に来ることを前提にして話を進めたわけです。とくに金曜日は,A君の好きなスクールカウンセラーも出勤している日なので,金曜日と言うだろうと思いながらも,あえて尋ねました。

「金曜日がいいです」

「じゃあ,1月始業式の週の金曜日ね。何時ごろがいい?」

「適応指導教室に行ってから来るので,12時くらいがいいです」

「OK,12時だね。先生,忘れやすいからメモしておくね」

 次回の面接を約束して,面接を終了しました。


***************


 面接の後,A君は保健の先生やスクールカウンセラーと話をしてから帰りましたが,そのとき,すでに変化は起きていました。

 A君は,学校へ来る際,正門から入ってきますが,すぐに校舎の裏を回り,人の目につかないようにして校舎に入ってくるのが常でした。
 ところがこの日は,玄関から校庭をまっすぐ横切り,正門まで歩いて帰っていったのです。以前のA君では考えられない変化でした。

 A君が帰るところを見ていた用務主事さんから,「校長先生!A君が校庭を通って帰りましたよ!」と報告を受けたときには,私も担任の先生も保健の先生もびっくりでした。

 
   
   
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